前回に引き続き、3月までチューターとして活動に携わって頂いたゴリさんのチューターの声 後編です。 前編をまだご覧になられていない方はコチラのページからご覧ください。
私が一番大切に思っているのはタイミングです。
よく子どもにかける言葉であるとか、話す内容であるとか、何を話すかより誰が話すかが大切であるから信頼関係を深めなくてはいけないという意見を耳にします。
たしかに、それぞれの子どもによって、またその場その場に応じてかける言葉を選ばないといけません。
また、どんなすごい内容の話やありがたい言葉でも凡人が言っても心には響かないといいます。メジャーリーガーのイチローやサッカーの日本代表が話をすればどんな言葉でも子どもの心に響く魔法の言葉になるのでしょう。
しかし、私はそれらのことよりも大切なのがいつ話すかいつ褒めるか、いつしかるかといったタイミングだと思っています。特に小学校高学年から中学生はまさにタイミングが一番大切です。
――誰からの言葉かで響き方が変わるから信頼関係が大事。でもそれよりも堤さんが大切にされているタイミングとは具体的にどんなことなのか気になります!
学校で友達となにかあって悩んでいるとき、部活で先輩にしかれてイライラしているとき、思いを寄せる人がなかなか振り向いてくれないとき。そんなとき勉強の大切さや夢を語ってもまったく子どもの心には響きません。
それどころかどんどん気持ちは離れていってしまいます。嘘をついてしまうときもあります。言い分けしてしまうときもあります。反抗的な態度をとってしまうときもあります。
それだけ子どもは学校で必死に戦っています。いやなことがあっても学校が子どもにとっての社会だから・・・。
――家と学校の往復。そこだけが世界の全てだと思ってしまうとしんどいですよね。
(中学3年生のために高校入試の社会科の過去問を分析しているゴリさん)
大人には何かいやなことあれば息抜きをする方法がたくさんあります。お酒をのんだり、一人でカラオケにいったり、旅行に出掛けたり、様々な方法で息抜きできます。
しかし子どもにはそういった方法がないです。だからある意味大人より疲れていてストレスを抱えています。
昔、ある歌手の歌で盗んだバイクで走りだす~や、夜の校舎窓ガラス割って回ったなど。青年の心の声を代弁した歌が大ヒットしたぐらいです。
しかし、そんな子どもでも一瞬だけ心を開く瞬間が必ずあります。それはいつかわかりません。その瞬間を見逃してはならないのです。
その瞬間を見逃すと取り返しのつかないことになってしまうこともあります。逆にそのタイミングさえ間違えなければ誰が言おうが、何を言おうが関係なく子どもの心に響きます。(もちろん最低限度の人間関係がなくてはいけません)
――なかなか心を開いてくれなかったのに、自然に話をしてくれるようになる。それはとても嬉しいこと。教える立場の私たちはその瞬間を絶対見逃したくないです!
だから子どもの教育にかかわる大人は、子どものそばにいなくてはいけません。そばにいて子どもの変化を感じようとする姿勢が大切です。子どもの目を見るのは当たり前です。目は口ほどに物をいうと言います。
私はそれ以外に、顔の表情、仕草、声のトーン、字の乱れ、その子どものすべての行動を総合的にみるようにしています。
――確かに迷いがあると字もぶれます。ゴリさんの観察力、さすがです!
そしてそれらを総合的に判断し、今日は少し疲れているなとか、集中していないから学校で何かあったのかなと子どもの行動の向こうにあるものに思いを馳せる努力をしています。
――原因があるから行動に現れる。変化に気づき、「なぜ?」と考えること。
これってすごく大切ですよね。なので、反抗的な態度をとったり、勉強に集中していなかったり、うそをついているとわかってもすぐには指摘しないこともあります。
わかっていてあえて騙されることもあります。しかし、子どもの心が開いたなと感じたときは迷わず行動します。
――教育への熱くて優しい想い。そして、まっすぐ向き合うゴリさんの姿勢。子どもたちは当然のこと、チューターにも十分伝わっているはずです!
ゴリさんには昨年の3月から1年間活動に携わって頂いていました。活動後などに色々な話や想いを聞くことができて本当に印象に残っています。
さて先日、ゴリさんが明石に寄られたので久しぶりにお会いし、お話をしました。以前と全く変わらず熱い想いを持っていました。現在勤められている学校でも子どもたちや教育に熱心に関わっておられるゴリさん。また、お話を聞ける日が楽しみです。
※本記事は兵庫子ども支援団体をご支援して頂いた方にお送りしているサポーター通信(メールマガジン)用に作成した記事をWebサイトに転載しています。
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