やっと秋ですね。
学生時代、中秋の名月に、通ってた大学の「一番高い場所」で鍋をしようと言い出したのは悪巧み三人組の誰だったのか。唯一六階建てだった教育学部棟の屋上で、バカな男三人がカセットコンロの鍋を囲み、一升瓶を抱えてはしゃいでた満月の夜……。
セピア色の思い出が似合う秋、9月最後のかがやき土曜日活動報告です。セピア色?
学習時間、子どもも多いがチューターも充実、しかも多彩! 入場曲(?)に『青と夏』が似合いそうなフレッシュ高校生から、背中で『ルビーの指環』を語れそうな世代まで、ろうにゃくにゃんにょ勢揃いです(早口苦手)。会場が一蘭のカウンターでも成立しそうな個別体制で子ども達に相対しました。
私が始めに見たA君、元気が余って学習どころではないようです。早々に二階に連れていくと棚に並んだカードゲームやLEGOを物色します。
以前の私は学習に取り組まない子を担当するとえらく緊張してました。それは子どもの将来の気がかりもさることながら、周囲から「子どもを勉強させられない、能力の低い人」と見られるのが怖かったのもありまして。今は学習の大切さは理解しつつ、「いまこの子と向き合っていること」の意味を広く考えるようになりました。といっても葛藤は続くんですけどね。
しばらくして中学生のB君が長身を屈めながら、のそりと入って来ました。どうやら話したいことがあるようです。じっくり聞いてみましょう。A君、LEGOで作った車、あんまりうるさく転がさんといてな。
生活リズムが整ってきたB君ですが、あるトラブルでまた不規則になってしまったようです。中学生一人で解決するには荷が重い案件です。私にも重い。こんな時はしかるべき人に頼るに限ります。若かりし頃の「自分が助けなくては!」というメサイアコンプレックスは波平の毛髪ほどもありません。私も随分生きるのが楽になったもんだ。
「十分だけいいですか?」と声をかけた相手はただっちさん。飄々とし過ぎてそうは見えませんが、泣く子も真顔になる当団体の代表理事です。
結局一時間以上付き合ってくれました。
ただっちさんに背中を押してもらい、後日聞いたところ事態は動き出したようです。B君、これを糧にますます成長して、行く行くはここのチューターに……おっと、気が急いてしまいました。
さて、この時間に一階ではアクティブラーニングが行われていました。
「他者との共同作業を通じてコミュニケーションを見直す」がテーマです。
無人島で一人で暮らすのでもなければ生涯ついて回ることですよね。何かをお願いしたり、提案したり、相談したり、断ったり少しだけ引き受けたり。
新聞紙を使った簡単なゲームを通して、そういった意思疎通の基礎を体験します。いや、したはずなんです。後から写真で様子を見ても。
そのはずなんですが、私たちが話を終えて一階に降りたとき、小学生のC君が新聞紙で作った巨大な紙鉄砲を鳴らそうとしてました。
C君、ものには適切な大きさってあるやん? 新聞紙で折った紙飛行機は鳥人間コンテストの「あかん方」の飛び方するやろうし、人間と同じ大きさのガンダムは上手なコスプレにしか見えへんし、逆に不二家のペコちゃん人形が巨大やとイカゲームが始まるとしか思えんやん?
案の定、C君が思い切り振った紙鉄砲からは、吠えるのを途中で諦めたパグみたいな「ブァホ……」って音がするだけでした。まあでも試行錯誤を繰り返して人間は成長するものですから。
9月最後といってもこの原稿を書いてる今は翌月7日、理事のきむさんから気弱な借金取りのように「(文字数)少しでいいですから……」と言われたのにまた冗長になった報告をたたみがお届けしました。試行錯誤ではなく、同じ過ちを繰り返す人間もいますよね(開き直り)。